ご冥福をお祈りいたします
当院では、医療保険を使っての訪問マッサージも行っております。
対象となられる患者さんは、通院が困難と見なされる患者さんで、筋肉のマヒや関節の拘縮の恐れがある場合です。
それらを診断され、最終的に判断されて「同意書」を医師からいただくことで、施術を始めることができます。
その患者さんは高齢者の方や、障害を持たれた方が多くなります。
この4月から、見させていただいた男性の患者さん。
脊柱管狭窄症の診断を受けられ、脚が随分弱ってしまわれ、転倒が多くなってきていたとのこと。
下肢のシビレや、背中や腰の重だるさを訴えられて、施術後は「軽くなった」と喜ばれてはいたのですが。
それ以上に問題だったのは、肺がんからの転移があり末期がんの状態であったこと。
医師からも年内は持たないであろうとの予測が、家族様には告げられ
残念ながら、その通りになられてしまいました。
ご冥福をお祈り申し上げます。
とてもタバコのお好きな患者さんで、いつも車椅子に座って煙をくゆらせていた姿が思い出されます。
肺がんでありながら、タバコはやめられなかった。
そこには、家族さんも含めた、大きな長い長いお話もあったようですが、結論として好きなタバコを吸い続けられた。
お酒もお好きで、ビールに焼酎の晩酌を毎晩。
ビールは体調のバロメーターのような役割もあって、体調がよろしくないと苦いばかりで、「美味しく」ありませんよね。
なので、ビールを飲まれている間は大丈夫なのかもと思っていましたが、夏ごろにはビールが飲めなくなられたと
それでも焼酎は飲み続けておられたようですが、ほとんどお湯だったと後からのお話で聞きました。
食べる量が極端に減られ、どんどん瘦せていかれる。
夏ごろは、四肢への施術でも内臓が刺激され、蠕動運動が盛んに、おなかがゴロゴロなっておられたのが、徐々に動かなくなってこられる。
ただ、幸いなことにガン特有の痛みの訴えはありませんでした。
脚が、腰が、ということではなく全身の重だるさや、思うように動かない手足の状態を嘆いておられました。
ただ静かに横たわっていると、辛さはない。
指圧操作により「よう寝れるわ…」とも
たくさんの方を看取ってこられた医師が次のようなことを書かれています。
自然な最期というのは、もう食べなくていいのです。
飲まなくていいのです。
痛みも苦しみもありません。
ただ眠って、眠って、いのちの終焉を迎えます。
あるとき、ご本人が「バカみたいに寝るし、バカみたいに食べられへん」とぼやいておられたことがありました。
ガンという病はあるものの、まさに最期へ向かわれる時間を過ごしておられたのだと思います。
11月に入ってからは、咳がきっかけで呼吸がしにくくなり、酸素吸入が始まりました。
それでも、酸素のチューブを外してでもタバコは吸い続けられており、
あるとき「タバコはうまいですか?」と聞くと
「いいや、うまない。せやから大分本数も減ったわ…」と寂しそうに呟いておられました。
結果として、最後に姿を見たのは亡くなられる二日前、やはり喫煙室でタバコを吸われている姿で、
亡くなられる直前にも、呼吸がより困難となり高濃度の酸素吸入をされていたにも関わらず、やはりタバコが吸いたいと。
まさに最後のタバコをくゆらせたのち、息を引き取られたとのことでした。
こんな最期の迎え方ができるのかと、何とも表しがたい感情がこみ上げて
「安らかなお顔」をされて、逝かれました。
ご冥福をお祈り申し上げます